今回は、食品用の使い捨て手袋(ディスポーザブルグローブ)にスポットを当てたいと思います!
業務用として飲食店やテイクアウト店、施設厨房、給食室など、下ごしらえや盛り付けなどで直接食品に触れる時に必要とされる使い捨て手袋。
食品衛生法適合品をなぜ選ぶ必要があるの?
色が付いている手袋は何のため?
食品衛生法適合品を選ばなければいけない理由や、色が付いている手袋の目的と理由、
中には人によってアレルギーを起こしてしまう使い捨て手袋も。
使っては捨て、また新しいのを出して使っては捨て、もったいないから安ければ何でも良いと選んでいませんか?
食品に使える使い捨て手袋の種類や選び方を説明していきます!
「食品衛生法適合品」を選ばなければいけない理由
そもそも「食品衛生法適合品」って何?
簡単に言うと、
「法律で決められた基準を満たしている手袋だから食品に使っても安全ですよ」
逆に言うと、
「法律で決められた基準を満たしていない手袋は食品には使えませんよ」です。
ここで言う法律が「食品衛生法」です。
「食品衛生法適合品」と表記されている手袋の原材料は、全て食品衛生法に基づく規格基準に適合しているので、食品に直接手袋で触れることが可能で、安全であると言えます。
また、食品衛生法には、
「有毒、有害な物質を含んでいてはならない」
「食品などに接触して人の健康を損なう恐れのある容器や包装器具などを販売したり使ってはならない」
とも決められているので、食品に触れる用途で使い捨て手袋を使用する際には「食品衛生法適合品」を選択する必要があるというわけです。
もし、今お使いの使い捨て手袋のパッケージに「食品衛生法適合品」の表記がない場合、それは、農作業用・園芸用・清掃用などの使用用途で、直接食品に触れた場合の安全性が確保されていない手袋なので、早急に買い替えましょう!
色付きの使い捨て手袋は何のためにある?
一昔前まで使い捨て手袋といえば、白か透明が定番でした。
色付きといってもおしゃれ目的でカラフルに富んだ色があるわけではありません。
一般的に使い捨て手袋の色付きと言えば「ブルー」ですが、ピンクや黒も見かけるようになりました。
なぜ色付きの手袋が作られたかというと、ズバリ「異物混入を防ぐため!」です。
手にフィットする手袋でも指先が少しだぶついたりする時がありますよね。
そのだぶついた部分を食材と一緒に庖丁で切ってしまって食材と混ざったとか、着脱時や何かの拍子でやぶれてしまってその破片が食材に混じってしまったなど、これまでの白や透明だと混ざった時に瞬時に見分けがつかなかったことから色付きの手袋が作られました。
当初ブルーの手袋が出始めたばかりの頃、手に付けた時の色の違和感からぎょっとされるお客様が結構おみえになって、メリットを説明した上でも敬遠されていましたが、今は色付きの手袋が主流になりつつあるので、むしろ色付きを求められます。
でも色付きの手袋の方が値段が高いんじゃないの?
そんなことはありません。
白や透明より価格が高いと思われているお客様もおみえになりますが、ほとんどが白や透明と同じ価格です。
また、コロナ禍で使い捨て手袋が入手困難になったのは記憶に新しいですが、その後は「ブルー」の手袋が優先的に製造され、今はブルーが定着しています。
衛生管理のことを考え積極的に導入することをオススメします!
パウダーフリーの使い捨て手袋とは?
使い捨て手袋における「パウダーフリー」とは、手袋の内側に粉が付いていないことを指します。
もちろん逆に、粉あり(パウダー付き)の使い捨て手袋もあります。
今は、パウダーフリーが主流になっているのですが、理由に少し触れたいと思います。
粉あり(パウダー付き)の手袋は、着脱しやすいというメリットはあるものの、人の健康面を考えると肌荒れを起こす可能性があるデメリットを抱えたまま使う絶対的な必要性が問われます。
医療の現場では他にも粉ありにおけるデメリットが存在するため、パウダーフリーへの切り替えが行われました。
「パウダーフリー」の使い捨て手袋が主流になりつつある理由は、着脱しにくいデメリットがあるものの、健康面や安全性ではより良いからということになります。
今は、パウダーフリーの着脱しにくい問題を解消するため、内側にポリマー加工を施し、着脱しやすいように作られている使い捨て手袋もあるので、購入する時に意識して確認してみると良いかもしれません。
ちょっと古いですが、2015年のデータで、世界各国の粉あり手袋の使用率は、日本では約40%のところ、他国では約10%~15%程。世界ではもっと早くからパウダーフリーへの切り替えが行われていたんだね。
エンボス加工とは?
ポリエチレン手袋やTPE手袋には、内側や外側に凸凹の型押し加工がしてあります。
「内エンボス」「外エンボス」と呼ばれています。
型押しで凸凹を付け、作業効率を上げるための工夫がエンボス加工です。
滑り止めの効果もあります。
お弁当の盛り付けなどに使われることが多いので、食材が手袋にくっつかないよう外エンボスの手袋を選ばれる方が多いです。
また、エンボス加工されている手袋には、凸凹の深さ度合いがそれぞれ違う場合があります。
凸凹が浅い手袋、凸凹が深い手袋、扱う食材によって選択がかわります。
そこまで気にして購入される方は少ないのであまり相談は受けませんが、実際にエンボスの深さ度合い別にラインナップしている製造メーカーさんもあります。
過去に「凸凹度合いを比較して使ってみたい」と依頼を受けたことがあったので、参考までに。
使い捨て手袋の素材による違いは? 定番4種類+新素材1種類
ここまで、使い捨て手袋の機能的なお話をしてきましたが、実際にどのような種類があって違いがあるのか、素材別に説明していきたいと思います!
ニトリル(合成ゴム)
ニトリル(合成ゴム)
強度 | 耐久性 | 伸縮性 | 作業性 | 耐油性 | 耐薬品性 |
---|---|---|---|---|---|
◎ | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | △ |
伸縮性があって手にフィットするので細かな作業に向いていて料理の下ごしらえや盛り付けの作業性も良いです。
突き刺し強度、耐油性・耐薬品性に優れていて食品加工にもおすすめ。
ラテックス(天然ゴム)アレルギーの心配がないのも安心。
医療や介護の現場でもよく使用されている万能な使い捨て手袋です。
ニトリル素材は、耐熱性も高く、耐熱温度は、120℃~130℃。
ただし、厚みが薄く防熱にはならないので火傷には注意!
↓ ニトリル手袋のお得なまとめ売りサイト ↓
ラテックス(天然ゴム)
ラテックス(天然ゴム)
強度 | 耐久性 | 伸縮性 | 作業性 | 耐油性 | 耐薬品性 |
---|---|---|---|---|---|
〇 | ◎ | ◎ | ◎ | × | △ |
素材が柔らかく伸縮性が非常に優れているので1番素手感覚で作業ができます。
手になじみやすいので長時間の作業にもおすすめできます。
ただし、ラテックス(天然ゴム)には、ラテックス蛋白によるアレルギーの問題もあるので注意が必要です。
また天然ゴムならではの臭いもあるので、気になる方はニトリル(合成ゴム)品をおすすめします。
ちなみに、ラテックス手袋+粉ありの組み合わせは、空気中に舞ってしまうラテックス蛋白が付着した粉からもアレルギーを引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
プラスチック(塩化ビニール)(PVC)
プラスチック(塩化ビニール)(PVC)
強度 | 耐久性 | 伸縮性 | 作業性 | 耐油性 | 耐薬品性 |
---|---|---|---|---|---|
△ | △ | △ | 〇 | 〇 | △ |
一見ニトリルに比べてメリットがなさそうですが、優れた点があります。
それは、「食材がくっつきにくい」ということです。
お米やお餅、ハンバーグや餡など、手にくっつくと作業効率が悪い食品を扱う時に便利です。
ニトリル手袋ほどのフィット感はありませんが、下ごしらえや盛り付けなどには十分に指先の感覚を使えます。
ポリエチレン
ポリエチレン
強度 | 耐久性 | 伸縮性 | 作業性 | 耐油性 | 耐薬品性 |
---|---|---|---|---|---|
× | × | × | △ | 〇 | ◎ |
使い捨て手袋の中で最もコストがかからずにすむ手袋です。
伸縮性がない分、逆に着脱しやすいので頻繁にこまめに交換して使用するのに向いています。
お弁当などの盛り付けによく使われています。
強度がなくすぐ破れたり、フィット感がなくゴワゴワして作業性もよくないですが、短時間の軽作業やコストを考える際にはおすすめです。
個人的には衛生的に使用する本来の目的「使い捨て」として1番罪悪感なく使えます。
TPE(ポリオレフィン)
TPE(ポリオレフィン)
強度 | 耐久性 | 伸縮性 | 作業性 | 耐油性 | 耐薬品性 |
---|---|---|---|---|---|
× | × | △ | △ | 〇 | ◎ |
TPE手袋はポリエチレン手袋と見た目は同じですが、ポリエチレンと伸縮性に違いがあります。
よく言われるのが、TPE素材は、合成ゴムとポリエチレンの中間の素材と言われていますが、TPE手袋は、手にはめた後、指にフィットするよう破れることなく伸ばすことができます。
その特性を活かして、ニトリルやラテックスより安価で、ポリエチレンより作業効率が良い手袋として新しく世に出てきた手袋です。
使用用途は、ポリエチレン手袋と同じですが、ポリエチレン手袋よりも作業効率が上がります。
世界でコロナ感染症が拡大し、ニトリルの原料が手に入らず品薄や高騰したことを受けて、代替え可能品として各社が取り組んで製造され始めたのがTPE手袋というわけです。
ポリエチレン手袋とよく間違えられ、ニトリルやゴム手袋の代わりにはならないと見た目で判断されがちですが、正しい使い方と作業内容によってはコスパ最強になりうる新素材!
以上が、使い捨て手袋の主な素材の種類と違いです。
他にも、
TPEと同じような素材「EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)」
ニトリルと同じような素材「混合合成ゴム(ニトリル+ポリ塩化ビニール)」
などもあります。
使い捨て手袋は、飲食店やテイクアウト店など、料理を提供する場においても菌やウイルスから食品を守るために必要です。
医療や介護の現場においても安心して仕事をする上で重要な役割を果たしています。
コロナ禍で原料が手に入りにくくなり、それに伴い価格も高騰し、必要であるにも関わらず手に入れることが困難になり、衛生管理と直結する製造メーカーが代替品での対応を進めてきた結果です。
サイズ選びのヒントと使い勝手につながる厚みの違い
最後は、使い捨て手袋のサイズと厚みについてです。
使い捨て手袋のサイズ選び
使い捨て手袋のサイズは、素材の種類を問わず<SS・S・M・L・LL>が一般的です。
サイズを選ぶ前に、ご自身の「手のひら周り」「中指の長さ」を測っておけばサイズ選びの参考になります。
サイズの選び方は、ご自身の「手のひら周り」「中指の長さ」+「手袋の全長」を元に選びます。
全長は、指先から手首より少し上あたりまでの長さが一般的ですが、肘丈のロングタイプもあります。
使い捨て手袋の厚みの種類
●ニトリル手袋・ゴム手袋
薄手:60μ(0.06㎜)~80μ(0.08㎜)
標準:80μ(0.08㎜)~100μ(0.1㎜)
厚手・極厚手:100μ(0.1㎜)以上
薄手は、手にぴったりフィットしやすいので素手感覚で作業をされたい方にオススメです。
強度重視で耐久性があり丈夫で破れにくい手袋を探す場合は、厚手以上がオススメです。
●ポリエチレン手袋・TPE手袋の場合
20μ(0.02㎜)~50μ(0.05㎜)
ここからは、
実際にあったお客様からの声をご紹介しますね!
ニトリル手袋のサイズを1つ小さめにして更にフィット感を増したいと言われたお客様がいました。
逆に別のお客様は、小さ過ぎると指の曲げ伸ばしに負荷がかかるので疲れやすくてダメと言われる方もいます。
中には、軍手をはめた上に手袋をつけるから1番大きいサイズが欲しいという方もいました。
理由は、作業の中で少し熱い物を持つことがあるからだそうです。(手袋の耐熱温度内)
ポリエチレン手袋でも、ゴワゴワし過ぎると作業しにくいからと1つ小さいサイズを選ばれる方がそこそこいます。
盛り付けに使うのは従業員の中でも女性だけというお店は、それぞれの手のサイズに合わせて各サイズ揃えるのではなく、間を取ってMサイズだけに統一するという選び方をされる所もあります。
サイズや厚み選びは、個人差や好みもあるので一概にコレとは言えませんが、作業内容や作業時間に合わせて検討する必要があると思います。
たかが使い捨て、されど使い捨て
業務用の使い捨て手袋は、食品の安全=人の健康に関わる重要な役目を果たしています。
使われる場所や使う人のニーズに応えるべく、たくさんの種類が用意されています。
手袋が使い捨てである1番の理由と目的は「衛生を保つため」です。
もったいないからといって使い回していては本末転倒です。
菌やウィルスから食品と自分自身を守ってこその使い捨て手袋です。
素材を変え、コスパの良い手袋をこまめに交換して作業することも1つの選択肢。
使い勝手や使い心地が気になる場合は、サンプルを依頼して実際に試してみるのも良いと思います。
無料でサンプルを用意してくれる商社さんやメーカーさんもあるので、購入先でサンプルがもらえないかぜひ相談してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。m(_ _)m
コメント